あの人の話

あの人はいつも、私に会うと
くしゃっとしたような、
にやっとしたような笑い顔で名前を呼ぶ。
実はいつも、あの人を先に見つけるのは私なんだけど、
私はその声が聞きたくて
見つけてもらいたくて
話しかけずにいる。
あの人は明るい。
声が大きい。
笑いが絶えない。
みんなから好かれていると私は思っている。
初対面の人は、あの人を怖い人だと思ったりもする。
本当は真面目。そして純粋。
それ故の明るさだってなんか最近わかってきた。
でもいいかげん。
女の子が好き。
野郎とつるむのも好き。
つるんでるとたまに、大真面目に話すあの人を見る。
熱い。あの人は熱い。
眼差しや、話す言葉や、考えてること、大切なもの、
そういうのひとつひとつが熱いんだけど、そんな自分が恥ずかしくて茶化して笑う。
でもそこが格好いい。
あの人は、私に嫌われてると思ってるのかもしれない。
仲間が聞く。
きらいなの?
私は答える。
ほんとは大好きなんだけど、言えないだけ。
社交辞令じゃなく、大好きなのだ。
他の子とにこやかに話していると、いつも気にしてしまうのだ。
あの人本人にも聞かれる。
きらいですか。
私は答える。
そんなことないですよ
大好きなんですよ、と言いかけて、いつも飲み込む。
いつもいつも、たくさん場を盛り上げて盛り上げて、帰るときはいつの間にかいなくなっている。
余韻だけが私たちに残る。
その余韻のせいで、私はまたあの人に会いたくなる。
こないだは4ヶ月ぶり。
次はたぶん、もっと早く会える。
あの人は、すでに忘れられない人なのだ。
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